過去の思い出
ああ…体中が痛い。
膝の痛みに始まり、ここ数日は腰から肩から腿からと、体中が痛くなり出し変な空咳まで出始めた。
先日、会社には現在の体の状況と今後の見込みなどを話し、体に負担の掛からない勤務体系に移動してくれる事になり一安心したが、安心と引き換えに体中が痛くなり、否応なく安静にしていざるを得ない状況となっている。
こんな状況になると、返って自転車に乗ったりどこかに出掛けたくなるもので、布団の中で悶々としながら、過去のサイクリングの事を思い出している。
佐渡島に行った帰りに直江津から乗った夜行列車の古臭い客車の窓から流れる街の光。
越美南線を走るディーゼルカーの音と匂い。
水しぶきを上げてすぐ脇を追い抜くトラックにビクビクしながらペダルを漕いだ酒匂川の橋。
自転車を分解している最中「あんた競輪の選手かい?」と話し掛けられたどこかの駅。
サイクリングの全景は思い出せないが、たわいもない小さな景色が脳裏に浮かぶ。
今ならデジカメやスマホで映像として人に見せることが当たり前のようにできるが、もう20年以上前の風景。
人に見せられるものはなく、ただ私の心に浮かびただ一人懐かしむだけ…。
まあ、それでいい…。
人間、気弱になると華々しい思い出ではなく、日常の何でもない光景を思い出すのだろうか…。
体中の痛みに耐え、目の前にある天井に過去が映し出された。
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