富士川でブラックサンダーを食らう

補給食のブラックサンダーをバックポケットに入れ、ゴールデンウイーク初日とは思えない静まり返った街に漕ぎ出した。

ひとまず目指すは「薩埵(さった)峠」

広重の浮世絵で有名なこの峠。
ここは私にとって鬼門の場所。
20%近い激坂(由比の壁)を登らなければ越えられないことに加え、その昔、激坂の途中でチェーンが切れたことが原因でコケ、自転車を壊してしまったことがあった。
それ以来、本能的に足が遠のいていた。
しかし、今日は何を血迷ったか走り出してしまった。

清水側のアプローチでは、激坂の距離は500mほど。
力技でこなそうと思えばこなせない距離ではないので、体重過多の運動不足中年でも何とかなる。

道路工事の警備員が見る中、「意地でも蛇行するものか…」とバルベルデになった気持ちだけで喘ぎ喘ぎ登り切る。

やはりキツイ…。

峠の駐車場で乱れた呼吸を整え、ついでに小用を足そうと思っていたのに、駐車場はこのコロナ騒ぎで閉鎖中。
こんな時期だけに仕方ないが、トイレだけは使わせてほしい…。
お目付け役の警備員がいることもあって「ちょいとごめんなさいよ…」ってこともできないし…と、高まりつつ膀胱の圧迫をこらえながら由比への激坂を恐る恐る下る。

この状況で20%越えの坂を下るのはきつく、ハイカーにも追い抜かれそうな速度でソロソロと下る。
そんなのんびりした速度で走っていると、野ウサギが道に飛び出し私の脇を駆け抜けていく…。
こんなところに野ウサギがいるとは思わなんだ。
外出自粛は野生動物にとっては返って好ましいことなのかもしれない…。

無事由比の街に出た後は、県道をひた走ってJR新蒲原駅でボトルの水を補給し、念願の小用を済ませる。

そのままいつもの富士川河川敷まで走り、誰もいない河川敷グランドでコーヒーブレイク。

ヒバリが高鳴き、ぽかぽかとした日差しが降り注ぐ。
あぁ…ブラックサンダーは溶けかかり、手はチョコレートでベタベタになる。

ブラックサンダーを補給食として携行するのも限界のようだ。
代わりのモノを探さなければ。

何か適当な駄菓子は無いものだろうか…。
そんなことに気が付いた、ゴールデンウィーク最初のサイクリングだった。

また明日から仕事…2日行けばまた休み…この2日が長く感じるんだよなぁ…。