ただ走るのみ…

5月5日こどもの日。
朝、明けやらぬ内から両親の朝食を準備し、昨夜のうちに済ませておいた洗濯物を干し、サイクルジャージに着替える。

「新しい生活様式」の趣旨に則り、たった一人で誰もいない街に漕ぎ出す。
友達がいない私にはちょうどいい…。

県道を東に進み、富士川橋を渡った先の「雁堤」でマグボトルに詰めたコーヒーと、ブラックサンダーに代わる「オレオ」で一息入れる。

息が落ち着いたところで、再び自転車にまたがり、進路を北に取り富士宮へと向かう。

多くの人が動き出す前に市街地を抜けて山あいに入りたい。
少しペースを早めつつペダルを踏み込む。

朝方は雲に隠れていた富士山が富士宮市街を過ぎた頃に顔を出す。
同時に、5月とは思えぬほどに気温が上がりはじめ、汗腺という汗腺から汗が噴き出す。

まだ暑さに慣れていない体にこの暑さはキツい。

事前に調べておいた水場でボトルの水を補給し、バックポケットに忍ばせた塩タブレットをできるだけ頻繁に口にするよう心掛ける。

汗をかきかき坂道を駆け上り、前回は工事用の足場でその姿が隠されていた大石寺の三門前で休憩。

今日は改修後の外観を見ることができる。
まだ三門周辺は工事のため雑然としていてキレイとは言い難いが、整備が完了した暁にはきっと荘厳な姿を現すことだろう…。

ここからは旧芝川町を通って帰路につく。
できることなら白糸の滝辺りまで足を延ばしたいと思っていたが、午前中には帰宅したいので残念ながら踵を返す。

芝川の柚野…
いつ来ても心惹かれる地名だ。
天子山地と富士山麓に挟まれた山あいの地域で、米造りと豊富な富士山の湧き水を使った酒造りが盛んな所だ。
この時期は、水が張られた田圃に富士山が鏡のように写り、多くの写真愛好家が三脚を据えてシャッターチャンスを狙っているが、今日はその姿は全く見えない。

一時は姿を見せた富士山が隠れ、逆さ富士の美しい姿を見ることはできなかったが、いつ来ても心癒やされる長閑とした柚野の景色は、ささくれ立った気持ちを落ち着かせてくれる。

鎮守というのだろうか、地域にある神社の鳥居前で再びコーヒーを飲みながら休憩。
大きく息を吸い込んでストレスを解放する。

さて、帰るにしてもこのまま素直に帰るか否か…。
まだ、タイムリミットまで余裕があるし足も残っている。
白糸の滝は無理にしても少し遠回りをしても構わないだろう…。

県道を通らず、芝川西岸の道を走る。
ここからの景色もなかなか気持ちいい。

この時期なら、かいた汗が下りで冷えてしまうのだが、今日はまったく寒くならず暑いくらい。
予防的に着たジレが鬱陶しい。

道祖神の脇に自転車を止めジレを脱ぎ再び走り出す。

県道に合流したところで、今度は合流した県道を登り返し、県道182号線・三沢富士宮線を目指す。

この辺りは「河岸段丘」というのか、登った先に平らな場所が広がりまた登りがある地形。
結構足に来る。遠回りしたことを反省する。

県道に入り「富士チサンカントリークラブ」がある峠を越え、わき道から大中里方面に抜け富士川沿いに…。
蓬莱橋のたもとで最後の休憩。

その後は富士川沿いを下り、富士川サービスエリア脇から旧東海道に入る。
この道も結構アップダウンがえぐく、疲れた足にとどめを刺す。

いやぁ…暑くて疲れた。
総走行距離、約100キロ。休憩込み5時間のサイクリング。
これでこの連休のサイクリングは打ち止めだ。

いやはや…外出自粛の影響もあって、何だかサイクリングすること自体が後ろめたいような感じ…
そんなこともあって、連休中の走行距離は伸びなかった。