乗鞍は快晴…

翌日の乗鞍は厳しい寒さではあったが、雲一つない快晴に恵まれた。

昨日は雲に隠れていた乗鞍岳も真っ青な空に真っ白い山容を際立たせ、昨夜は抜けるような夜空に満天の星が見られたとのこと。
ぐっすりと眠っていて見逃したのが残念だ。

朝食を食べたのち宿を辞し、幾度となくシュプールを描いた乗鞍温泉スキー場(現:Mt.乗鞍スキーリゾート)に回ってみる。

もう30数年も前のことなのであいまいな記憶しかなく、どこがどうだったのかという基本的なことも思い出せないのに、滑走中に転倒して麓の松本市民病院に運び込まれたなどというつまらないことは思い出せた。

「別のゲレンデはどんな感じだろうか…」と、スキー場中腹にあるゲレンデまで移動したのだけれど、滑っているのは自衛隊の訓練のみ。
平日とはいえ滑っている人がほとんど見えないゲレンデじゃぁ営業母体の企業が赤字で撤退するというのも頷けてしまう。

今シーズンはクラウドファンディングで何とか営業に持ち込めたとはいえ、来シーズンの営業は心もたないのではないか…。

スキーブームの頃と比べるのは酷ではあるが、あの頃とは打って変わった乗鞍の寂れ具合に寂しさを感じるとともに、ちょっとセンチな気持ちになる。

これもまた時代の流れなのだろうか…。インバウンドでにぎわう白馬と何が違うのだろうか…。
いち旅行者の行動だけでは何ともしがたい歯痒さを感じる。何かいい策は無いものだろうか…。

頻繁に訪れていた時に宿泊のベースとしていた、今はもう閉鎖されてしまった「いがやスキー場」を経由して乗鞍を後にしたのは午前11時頃。
家に戻るには少し早いので、松本市内の神社にお参りして帰途につく。

この神社や隣接する「ナワテ通り」なんかは観光客でにぎわっていたけどねぇ…。

松本から高速に乗り家についたのは午後5時ごろ。
特にこれといった観光はせずに終わってしまったけれど、いろいろな意味で考えさせられる旅行だった。

訪れてみるまで思ってもいなかったが、乗鞍高原…特にスキー場の寂れ具合にはショックを受けた。

昔とは遊び方が大きく変わったこともあるのかもしれないが、「スキー場」という施設で遊ぶということがもう時代にそぐわなくなったとも言えなくもない。

とはいえ、乗鞍高原の場合、乗鞍岳をはじめ比較的広い山麓でのバックカントリースキーや夏のハイキング・サイクリング、そして温泉など多種多様な遊び方が可能。
秘められた魅力が随所にあるのは間違いない。

あとは、その魅力を多くの人に対して発信できるかどうか…。
白馬などに比べ交通アクセスの悪さはハンディかもしれないけど、ここよりも奥に位置する上高地がインバウンドで賑わっているということは、アクセスの悪さは問題ではない。

マイナス点を凌駕する魅力はきっとあるはず。

こればかりは地元の人が発信するほかないだろう。頑張ってほしい。
私にできることはまた訪問してお金を落とすことぐらいだ…。