自転車安全整備士・自転車技士の試験について Vol.3 実技試験対策

2023年10月25日

筆記試験の次は実技試験です。
最も重きが置かれ、ここでのミスが不合格となることが多い実技試験について書いていこうと思います。

実技試験はほぼ七分組みの状態から、25分の制限時間で定められた形に分解し、それを80分以内に完成車の状態に組み上げる試験です。

安全整備士も技師もこの実技試験一回で評価されます。

実技試験の自転車

実技検査で使用する自転車は、Vol.1のページでも書いたように細かい指定があります。
受験者心得に書いてありますので、その仕様に沿った自転車を用意するようにしてください。

また、商品価値を損なう自転車…すなわち傷や汚れが目立つ自転車も一発不合格の対象となりますから、新品の自転車を手配した方がいいかもしれません。

あと、安全整備士や技士の試験を受けた方のブログで「シングルウォールのリムはやめた方がいい」と書いてあるのを見かけます。
これについては「何が何でもダブルウォールリムがダメ」とは言い切れないと私は思います。

ダブルウォールリムの方がシングルウォールより強度があるため、振れ取りがしやすいというのが理由です。
ニップルの嵌めやすさを優先するか、振れ取りのしやすさを優先するか。どちらを取るかです。

ニップルスティック(ニップルを保持するツール)があればダブルウォールリムでのハンデを克服できます。

要は、自分がやり慣れたモノを選び、使い慣れた道具で試験に臨めばリムの違いなど些細な事と言えるでしょう。

試験対策・練習

分解25分。組み立て80分ですので、のんびりと作業をしている暇は全くありません。
いかに効率よく作業をして、無駄な時間を費やさないように工夫をするというのが大原則です。

分解についてはリアホイールを分解したときに、ドライブ側とノンドライブ側のスポークを混ぜないようするのが一番の注意点で、それ以外は特に難しいことはないでしょう。

落ち着いて作業すれば時間が足りなくなることはないと思います。

組み立てについては、正直なところ時間的余裕はありません。
特に車輪組みについては30分以内に振れ取りまで終わるように繰り返し繰り返し練習してください。

車輪の仮組みで15分以内。振れ取りで15分以内。
理想を言えば仮組み10分、振れ取り15分…合計で25分ならその後の作業に余裕が生まれます。

ホイール組みの手順については下記のYouTube動画が参考になります。
ただし、逆JIS組みですのでその点は承知しておいてください。
概要が理解できたら「JIS組み」でホイールを組むよう練習することをお勧めします。(将来のため)

なお、実技試験審査基準では「あやどりがしてあり、かつ、オフセット組みされていること。あやどり又はオフセット組みができていなければ不合格」と書いてあり、JIS組みでなければならないとの記載はありません。

文面を読む限り逆JIS組みであっても不合格にはならない筈です。(これについては試験官に確認済み)

難関のホイール組みが終われば、あとは本体を組み立てていくだけです。

ワイヤーの取り回しや変速調整、タイヤの回転方向に指定がある場合はその方向、ブレーキや変速レバーの取り付け角度や強度、ハンドルの取り付け角度、サドルの取り付け具合、リアリフレクターの角度など、受験者心得に記載してある「実技試験審査基準」に則って組み立て確認をしていきます。

実際の作業スペースは予想以上に狭いです。(おおよそ1.8m四方)
上のYouTube動画を参考に、実際の作業スペースを再現して、整理整頓しながら練習するようにした方がいいです。

工具や予備部品・その他用意した方がいいもの

試験会場には下の画像に写っているモノを一式持ち込みました。

自転車を組み立てられる最低限の工具のほか、電動ドライバー(ホイールの分解組み立てに使用)や9㎜のボックスドライバ(ディレイラーワイヤを止めるナットの緩め締め)、小さめのラジオペンチ(ディレイラーワイヤを引っ張るのに使用)、先端を曲げた細いドライバ(リムテープを外すのに使用)、などを活用しました。

振れ取り台はPWTの振れ取り台を、しっかりとセンター出しをしたうえで持ち込みました。
かといってセンターゲージが不要なわけじゃないです。

他に、ブルーシート(作業エリアに敷く)・台車(工具などを運ぶ)・上履きは必須です。

あとはあったら作業が楽になると思われるものを持っていくと良いでしょう。
例えば、外した部品を置くトレー、スツール(振れ取りの際に座る)、フラッシュライト(暗くて確認しにくい所を照らす)、タイマー(倒しても容易にSTOPしないモノ…私はタイマーを本番中倒したことで止まってしまい残り時間がわからなくなってしまいました)などです。

繰り返し練習をすれば「何が必要か…必要ないか…」が分かるようになります。
練習中に試行錯誤しながら取捨選択をしてください。

予備部品もお忘れなく。
チェーンのリンクピン(チェーンジョイント・ミッシングリンクも含む)、ニップル、エンドキャップは必ず持参しましょう。
紛失しやすい上、これがなければそこで試験終了になってしまいます。

とにかく、準備は万端にして試験に臨みましょう。

次のページでは、当日の流れについて書いておきます。
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